客の居所がつかめない限り動きようがない

「一瞬逃げたかなと思いましたけど、まだこの時点では半信半疑ですよ。で、自宅のアパートに行ってみたら鍵がかかっている。大家に聞くと、引越した様子はない。となると、とりあえず相手から連絡を待つしかないんですよね」

 

もちろん定期的に電話を入れ、督促状も出した。

が、まるで音沙汰なし。

転居した可能性もあると役所で住民票を調べたりもしたが、元の住所のまま。

通常こうした場合は親元に連絡をするが、この客に関しては聞き逃している。完全にミスだ。

 

「上司にかなり怒られましたけど、もうどうしようもないんですよね。結局、3ヵ月経ってもラチがあかないんで、本部にある回収専門のセクションに上げたんですけど、まず貸し倒れになったでしょうね」

 

いくら本部といえども、客の居所がつかめない限り動きようがない。

できることといえば、簡易裁判所から支払命令を取ることぐらいだ。

 

彼は大手、準大手クラスのサラ金の場合、客が行方不明になったら、ほとんどのケースで回収をあきらめ、半年か長くて1年で貸し倒れの扱いにしてしまうという。

 

回収できなくても、前に書いたように行方不明になるケースなど全体から見ればごくわずかで、しかもこうした場合、業者側が逃げた客に対し督促状や支払い命令を送付するなど、本人を探したという証拠さえあれば、決算時に税務署が損金(課税の対象にならない)として認めてくれるのだ。

 

「逃げたヤツを探すために労力をかけるより、損金として処理するために形ばかりの督促をするというのが現状じゃないですか。それでたまたま回収できればラッキーってなもんですよ」

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ