客の居所がつかめない限り動きようがない

「一瞬逃げたかなと思いましたけど、まだこの時点では半信半疑ですよ。で、自宅のアパートに行ってみたら鍵がかかっている。大家に聞くと、引越した様子はない。となると、とりあえず相手から連絡を待つしかないんですよね」

 

もちろん定期的に電話を入れ、督促状も出した。

が、まるで音沙汰なし。

転居した可能性もあると役所で住民票を調べたりもしたが、元の住所のまま。

通常こうした場合は親元に連絡をするが、この客に関しては聞き逃している。完全にミスだ。

 

「上司にかなり怒られましたけど、もうどうしようもないんですよね。結局、3ヵ月経ってもラチがあかないんで、本部にある回収専門のセクションに上げたんですけど、まず貸し倒れになったでしょうね」

 

いくら本部といえども、客の居所がつかめない限り動きようがない。

できることといえば、簡易裁判所から支払命令を取ることぐらいだ。

 

彼は大手、準大手クラスのサラ金の場合、客が行方不明になったら、ほとんどのケースで回収をあきらめ、半年か長くて1年で貸し倒れの扱いにしてしまうという。

 

回収できなくても、前に書いたように行方不明になるケースなど全体から見ればごくわずかで、しかもこうした場合、業者側が逃げた客に対し督促状や支払い命令を送付するなど、本人を探したという証拠さえあれば、決算時に税務署が損金(課税の対象にならない)として認めてくれるのだ。

 

「逃げたヤツを探すために労力をかけるより、損金として処理するために形ばかりの督促をするというのが現状じゃないですか。それでたまたま回収できればラッキーってなもんですよ」

30代独身男性に50万円を融資

「貸し倒れが出るのは最初から計算の上なんですよ。会社はそれを見越した上で金利を設定していますから。100人の客がいて2、3人コゲツキが出ても、まあくれてやるかって感じですよ」

そう語るのは某大手サラ金に務める男性。

勤務先は都内の支店、仕事は回収がメインだが、手が空けば接客、融資などにも手を貸す。

 

彼によれば貸し倒れの内訳は弁護士の介入による自己破産や任意整理が半分、残り半分が行方不明、支払い拒否、本人死亡などの理由によるものらしい。

「弁護士が入ったり、本人が死んだりした場合は仕方ないって思えるんですけど、頭に来るのは突然消えられるのと、どう言っても返さないって突っ張る客ですね」と語る。

 

彼が以前、融資した客で、某中堅コンピュータ会社に勤める30代の独身男性がいた。

希望の融資額は50万円でその男性の年収は600万円だったという。

 

個人情報を調べてみると、過去に数件、他社から借り入れがあるものの、すでに完済しており現在の借入額もなし。

運転免許証を提示され、会社に在籍確認も取れた。

ただ、実家の連絡先だけは記入しなかったという。

 

「独身で一人暮らしの場合は、たいてい申込用紙に書いてもらうんですけど、ちょっと勘弁してほしいと言われて。他に不審な所もなかったし、それなら大丈夫ですよと希望通り50万円を融資したんです」

 

最初の2ヵ月は遅れることなく入金があったのだが、3ヵ月目の支払日に突然入金がストップした。

彼は督促の為、すぐに顧客の家に電話を入れたそうだが、呼び出し音がなるだけで誰も出ない。

不思議に思って、すぐに勤務会社に連絡してみると、返ってきた答えは「○○は、先月末で退社しましたが」というもので、次の勤め先については特に聞いていないという。

借金整理 相談 弁護士
参考URL:http://www.consommerautrement.biz/

借金をしていることを親や家族や会社にバレたくない

任意整理に個人再生、自己破産。

合法的に借金地獄から逃れる方法はあるが、サラ金(消費者金融)業者にとって一番厄介なのは、「払えない」と居直る客と行方をくらましてしまう客だという。

 

実際、大手サラ金業者は毎年決算概要を発表しているが、その中に貸倒償却額という項目がある。

これは業界で一般的に貸し倒れと言われている、何らかの理由で回収できなかった貸付金のこと。

 

借りた金を返さない客もいるとはいえ、貸付残高に占める貸し倒れ額の割合はわずかに2%前後。

借りた金は返すのが常識とはいえ、サラ金業者の回収率は98%近くあり驚異的と言わざるをえない。

 

なぜ、みんなこうも律儀に金を返すのか。

サラ金の場合、原則的に無担保、保証人不要である。

その気になれば、踏み倒すこともできそうだ。

 

しかし、やっかいなことに人間にはプライドや世間体なるものが存在している。

借金をすることは恥ずかしい、自分が借金をしていることを親や家族、会社にはバレたくない。

こういう気持ちが客を返済に走らせる。

 

だが、逆に言えば、自分からプライドや世間体を気にする目がなくなれば、借金など恐れるに値しないのだ。

 

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